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皮膚常在菌で美肌に!?皮膚常在菌とスキンケアの関係を徹底解析!

皮膚常在菌の力で美肌になれる!?

そんなことを聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?近年になって、皮膚常在菌が肌に大きな影響を及ぼすのではないかと注目が高まっています。

このページでは、そんな皮膚常在菌について詳しくまとめてみました。難しい内容ですが、ぜひ最後まで読んでくださいね。

皮膚常在菌とは?

皮膚常在菌とは読んで字のごとく、皮膚にいつも棲み着いている菌のことです。

皮膚に菌なんているの? と思う人もいるかもしれませんが、実は皮膚の表面や毛穴は菌の巣窟なのです。アメリカの国立ヒトゲノム研究所では皮膚には約1000種類の菌がいることを報告しています。また北里大学の研究では皮膚1㎠に約4400もの数の菌が生息していることを報告しています。

そうしてみると、私たちの身体を覆う皮膚には数百億の菌が生息していることになります。

私たちの皮膚にいる常在菌はたんなる雑菌の集まりではありません。皮膚常在菌の中には腸内ではたらく腸内細菌と同様に皮膚にとって有用なはたらきをしている善玉菌もあります。一方で皮膚に悪い作用を及ぼす悪玉菌もあります。あるいは皮膚上で活性化している優勢な菌に加担してはたらく日和見菌もあります。

ここではどんな皮膚常在菌がどんなはたらきをするのか、くわしく見ていくことにしましょう。

参考2:日本臨床微生物学雑誌 Vol.22 No.2 2012.

美肌を作る皮膚常在菌「表皮ブドウ球菌」

「美肌菌」と呼ばれる皮膚常在菌に「表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)」という菌があります。ブドウ球菌の仲間は顕微鏡で見るとブドウの房のような形状をしていることからそのように名付けられています。

表皮ブドウ球菌は身体中の皮膚の表面や毛穴角質のすき間などに棲み着いて、汗や皮脂の成分を食べてグリセリン関連物質やコハク酸などの有機酸を分泌します。

表皮ブドウ菌が作り出すグリセリン関連物質は粘着性があります。これはバイオフィルムや菌膜などとも呼ばれ、肌に潤いを与え、肌を弱酸性に保ちます。また外からの菌やカビなどの病原体の侵入を防ぐバリヤの役割も果たします。さらにはおできやとびひ、蜂窩織炎など化膿性炎症の原因菌である毒性の高い黄色ブドウ球菌の増殖を防ぎます。

また表皮ブドウ菌が作り出すコハク酸は過剰に増殖するとにきびの原因になるアクネ菌の増殖を防ぎ皮膚を健全な状態に保つことに貢献しています。こうしたことから表皮ブドウ球菌は美肌菌と呼ばれるようになっています。

しかし、この表皮ブドウ球菌、皮膚ではたらいているうちはよいのですが、体内に侵入すると身体にとってマイナスにはたらくことがあります。表皮ブドウ球菌の毒性は低く、臓器に感染症を引き起こすことはほとんどないのですが、表皮ブドウ球菌の作り出す粘着性のあるバイオフィルムがアダとなることがあります。

たとえばカテーテル、人工心臓弁、心臓ペースメーカーなど身体の中に機器を埋め込んだ人の体内で機器の表面にバイオフィルムを作り、それが血液に入り込むと心内膜炎や髄膜炎、膀胱炎、敗血症などを引き起こしてしまうことがあるのです。また表皮ブドウ球菌は抗生物質にも強いので、病院で治療を受けており、身体に抵抗力のない人の身体に入り込むことで院内感染を起こさせるリスクのある菌として警戒されています。

前向きに考えれば、抗生物質が効かず人工機器などを埋め込んだ人の機器表面にまでバイオフィルムを作る強さをもつのが表皮ブドウ球菌なのです。これが皮膚で働いている限り、そのバイオフィルムが美肌に役立ってくれるということを理解しておきましょう。

参考:NHK「美と若さの新常識」

にきびの元にもなるが、普段は皮膚の健康を守るアクネ菌

表皮ブドウ菌と並びよく見られる皮膚常在菌としてアクネ菌(Propionibacterium acnes)が挙げられます。

アクネ菌といえばにきびの原因菌として知られますが、これは思春期などの特別な場合。思春期は皮脂の分泌量が増え、皮脂腺のある毛穴をふさいでしまうことで、毛穴の中は酸素が少なく皮脂がたっぷりあふれる状態になります。

このような環境になるとアクネ菌は積極的に皮脂を食べ、分解酵素(リパーゼ)を作り出します。そしてこのリパーゼが皮脂を分解することで脂肪酸を作ります。この脂肪酸とアクネ菌の死骸と皮脂がつまってパンパンとなった毛穴の中で皮膚への炎症が引き起されてにきびができていくのです。

つまり、皮脂がつまり酸素が少なくなった毛穴という密室空間ではじめてアクネ菌はにきびを作り出す原因になるということです。

このような特殊な状況をのぞけばアクネ菌はプロピオン酸や脂肪酸を作り、表皮ブドウ球菌のように皮膚表面を弱酸性に保ち、毛根部への黄色ブドウ球菌のような病原菌の侵入および増殖を防ぎ、健康な皮膚を維持することに貢献しています。適度な量のアクネ菌はむしろ美肌を作ってくれるのです。

参考:ヤクルト中央研究所HP

湿疹やフケの元にもなるが、普段は皮膚の健康を守るマラセチア菌

マラセチア属の真菌(Malassezia;マラセチア菌)もアクネ菌同様、皮脂をエサに脂肪酸を作り、皮膚を弱酸性の健康な状態に保つはたらきをします。マラセチア菌は皮脂の多いおでこや鼻の頭、耳の後ろなどに棲んでいます。

ただし、マラセチア菌は皮脂が過剰にある環境では脂漏性皮膚炎の原因菌となりやっかいな存在になります。脂漏性皮膚炎とは頭やひたい、髪の生え際、眉毛、鼻のわき、わきの下、胸や背中の中央部、股の付け根など皮脂の多いところや湿ったところに湿疹や鱗屑と呼ばれるフケのようなものが出てくる皮膚炎のことです。頭皮に脂漏性皮膚炎が起こるとフケが大量に出てきてしまうことがあります。

これはマラセチア菌が過剰に増殖することで起こる症状です。皮脂の分泌状況や湿潤環境、ペーハーなどさまざまな要因が重なって発症すると考えられています。

脂漏性皮膚炎といえば生まれて間もない赤ちゃんの頭皮にボツボツとできる黄色い皮脂のかたまりを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、この脂漏性皮膚炎は皮膚の発達が未熟なために毛穴に皮脂がつまることで起こる症状で、マラセチア菌による脂漏性皮膚炎とは性質の違ったものです。

参考:新宿駅前クリニックHP

アトピー性皮膚炎の原因にもなる毒性の強い黄色ブドウ球菌

皮膚常在菌の中でやっかいな存在であるのが黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)です。黄色ブドウ球菌は皮膚表面や毛穴、とくに鼻の孔の中に多く存在していることが知られています。黄色ブドウ球菌はまた毒性が高くアトピー性皮膚炎の患者では黄色ブドウ球菌が多いことが知られています。

現在、アトピー性皮膚炎の治療としてステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などが使われていますが、これは症状を抑えるための対症療法です。こうした方法ではなく、何らかのアプローチで皮膚常在菌のバランスを変えることでアトピー性皮膚炎の治療ができなかという研究も進められています。

このような治療法を確立する場合において、皮膚の黄色ブドウ球菌を減らすことが重要だと考えられています。そしてまた表皮ブドウ球菌をうまく増やすことで黄色ブドウ球菌が減らせないかと考えられているのです。

つまり黄色ブドウ球菌が優勢となっている皮膚常在菌のバランスを表皮ブドウ球菌が優勢なものに変えていくことがアトピー性皮膚炎の新しい治療法になるのではないかという考えのもと、世界で研究が始められているということなのです。

参考:Genome Res. 2012 May;22(5):850-9.
参考:J Leukoc Biol. 2015 Apr;97(4):769-78.

黄色ブドウ球菌はアトピー性皮膚炎だけでなくさまざまな悪さを皮膚に及ぼします。怖いのはケガで皮膚の角質層が損傷したときです。傷口でそこから黄色ブドウ球菌が多量に侵入するととびひ、おでき、癰(よう)と呼ばれる膿を伴う腫れ、蜂巣炎という細胞を破壊する化膿性の炎症などが起こります。またカテーテルや心臓弁など身体に埋め込む機器に付着すると骨髄炎、関節炎、肺炎、敗血症、心内膜炎などを起こすことがあります。

黄色ブドウ球菌は食中毒の原因菌にもなります。黄色ブドウ球菌からエンテロトキシンという毒素が作られますが、この毒素は人の消化酵素では分解することが難しく、体内に取り込まれることで下痢や嘔吐を伴う胃腸炎にまで進展してしまうのです。2000年に発生した雪印乳業(現・雪印メグミルク)による大規模な食中毒事件もこの黄色ブドウ球菌が原因菌であったことが立証されています。

また黄色ブドウ球菌が抗生物質でも死なない状態(薬剤耐性)を獲得しやすく、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌という菌は病院で作られることが多いことが知られています。そして全然違う病気で入院、外来を受けた人がこの菌に感染して黄色ブドウ球菌特有の皮膚炎を起こしたり、重篤な病気になったりしてしまう院内感染が社会問題となっています。

虫歯菌だが皮膚にも常在するミュータンスレンサ球菌

ミュータンスレンサ球菌(Streptococcus mitis)はヒトを始め哺乳類の口の中にいる菌ですが、皮膚にも常在しています。虫歯の原因菌の一つとしてよく知られています。ショ糖から粘着性の多糖体(ムタン)を作り、歯の表面で他の細菌とともに塊を作ります。

この塊が歯垢(プラーク)であり、虫歯が発症・進展する最大の要因となります。

ただしショ糖がなければ他の菌と結びつくことはほとんどなく、それほどの害はありませんが、血液に入り込むと心内膜炎を引き起こす可能性があることが知られています。

参考:Heart. 2003 Mar;89(3):258-62.

ほとんど無害だが菌は恐ろしい菌もあるコリネバクテリウム属

コリネバクテリウム属菌(Corynebacterium species)は線のようにまっすぐに伸びた菌種(放線菌)です。ほとんどの菌種は毒性が弱く無害です。それでもジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)には強い毒性があり、咽頭部や創傷部に感染することでジフテリア毒素が作られ、これが血液に入り込むと、まれに心筋炎や神経麻痺などを起こすことが知られています。

日本では幼児への定期接種として実施されている三種混合ワクチンにジフテリアのワクチンが含まれており、重篤な症状に至るケースはほとんどありませんが、世界ではジフテリアの感染により毎年数千人単位の死者が出ています。

また他のコリネバクテリウム属でジェイケウム菌(Corynebacterium jeikeium)という菌がカテーテルやペースメーカーなど身体に入れる機器から入り込み、敗血症、心内膜炎、肺炎などを起こした症例が報告されています。

参考:吉田製薬HP

どんな環境でも生き続けられるアシネトバクター属

アシネトバクター属菌(Acinetobacter species)は動かない皮膚常在菌で発育のために酸素を必要とします。健常な人に感染症を起こすことはほとんどありません。

でも、アシネトバクター属菌はどのような場所でも長期間生き続けることができます。吸入装置などの機器から入院患者さんの身体の中に侵入し、人工呼吸器関連肺炎を引き起こすことがある院内感染起炎菌として知られています。

参考:日本細菌学会HP

皮膚常在菌も自分が棲みやすい場所を選ぶ!?

ここまで皮膚常在菌の一部を紹介しましたが、これらの皮膚常在菌が棲みつく傾向のある身体の部位があることがわかってきています。つまりそれぞれの部位で優勢を占めている常在菌があるということです。

これは海外の報告ですが、皮脂の多い部位(おでこ、鼻の頭、耳の後ろ、胸元など)はアクネ菌や表皮ブドウ球菌が多くなっていたという報告があります。

また湿った部位(わきの下、腕の折れ目、膝の裏、お尻の割れ目、鼻の孔、おへそ、股の付け根、指の間など)には表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、コリネバクテリアなどが優勢になっていることもわかっています。

そして乾いた部位(手首の付け根、腕の裏、おしりなど)ではアシネトバクター属菌や大腸菌などのプロテオバクテリアやフラボバクテリウムなどの門(菌の大きな分け方)に位置づけられる菌種が支配的だったことが報告されています。

皮膚常在菌の研究は腸内細菌叢と同様に今解明が進められている分野であり、菌には19の門、1000の種があると言われていますが、まだ性質や機能がわかっていない菌種もたくさんあります。

参考:Science. 2009 May 29;324(5931):1190-2

皮膚常在菌を味方につければ美肌になれる?

さまざまな皮膚常在菌について見てきましたがいかがでしたでしょうか? 1000種ほどはあろうかと推計される皮膚常在菌ですが、その中で美肌に役に立ちそうな菌といえば、真っ先に表皮ブドウ球菌が挙げられることがわかりました。

表皮ブドウ球菌は毒性も少なく、恐ろしい黄色ブドウ球菌を退け、にきびの原因となるアクネ菌を大人しくさせるありがたい菌であることがわかっています(とはいえ菌は菌ですから大量に血液や臓器に入れば感染症の原因となります)。

表皮ブドウ球菌が皮膚に多く存在するように皮膚常在菌をコントロールできればグリセリンを主成分とする表皮ブドウ球菌のバイオフィルムが肌にうるおいを与え、外部からの刺激を守ってくれることで美肌の早道となりそうです。

黄色ブドウ菌が優勢を占めている皮膚を表皮ブドウ球菌優勢に変えていくことでアトピー性皮膚炎の治療につなげていこうといった研究もあります。

表皮ブドウ球菌を医薬、食事、運動などを介していかに優勢にしていくかということが今後の健康・美容分野のテーマとしてますます大きくなっていくことが予想されます。

美肌につながる表皮ブドウ球菌。これをうまく肌の上で増やして、素肌美人になりたいものですね。

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